コロンビア大学教授に聞く、日本の移民どうしたらいいの?

こんにちは、鳥羽です。

渡米して1週間、コロンビア大学の夏季授業に参加して5日間目になりました。(正式名称はAmerican Language Program, Intensive Academic English Program)

TOEFLの点数が1点足りない、という情けなさ過ぎる理由で秋学期前に強制参加になった授業なので、最初はウエ~~~~みたいな、エ~~~みたいな、あんまりモチベが無かったのですが…。

しかし蓋を開けてみたら、夏季講座のテーマは移民!!まさにアメリカへの移民である私は一気にめちゃめちゃ興味が出ちゃいました。(今思えばすべてコロンビア大学の思惑通りですね、くっ…ハイハイ悔しいけど楽しいわよ…)

アメリカの移民の歴史を1750年から浚っていくというものなのですが、もうヒューマンドラマがすごい。

イタリア移民の歴史についてのドキュメンタリーを見たりしたんですが、けっこう内容エぐくて…。祖国に起こった大飢饉のせいで妻と子供を養えなくなってしまったイタリア人の工夫がですね、家族を残して出稼ぎのためにアメリカへ出てくるわけですよ。劣悪な環境の中家族のために働くも、ガスタンクの崩落であっけなく死んでしまって…。うっ…。祖国の妻が…うっうっ…皿洗いの途中にふと窓の外を見ると…うっ…そこにいるはずのない夫が、帽子を少し傾けてお辞儀をしているのを見て…「ああ、夫はアメリカで死んだのだな・・・」と悟ってしまう…という…うおおおおおん、なんで死んでしまったんだブルーノーーーー!!!!お前を必要としている家族がここに…ブルーノーーーーーーーー!!!!

いや、もう。移民が今のように根付くまでには、ホント、ホンッットに長い人の血と涙がかかっているんだなあ…。と…。私が普段何気なく使っているガスや水道も、彼らの命を使ったトンネルを経由して…うっ…ブルーノ…。

彼らのような労働力のための移民は、Birds of Passage(渡り鳥)と呼ばれたそうです。名前まではかない…。

いや、でもぜんぜん移民って他人ごとじゃないですよね。

日本もめちゃめちゃ高齢社会で、いまの年金制度を続けていくなら、若い労働力のために移民を受け入れていくしかないし。実際、技能実習生制度とかでなんとか移民への政策をスタートさせてますが、劣悪な労働環境、通じない言葉、タコ部屋に近い住居、逃亡する東南アジア移民…と、もう問題は露呈しまくってますよね。

▼今週にもこんな記事が…

https://news.yahoo.co.jp/articles/c902728b6925d27ac6eb78cc9dcee57450c23820

新しいブルーノが日本で生まれても不思議じゃないですよ…だめだよそんなことおおお!!

どうしたら…どうしたらいいんだ我々は…ホスト側の日本人として…

誰か…

誰か教えてくれる人はいないのか…!!!

我々は…どうしたらよいのか…!!

誰か…!!

 

いた~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!

(誰?)

Rebecca Kobrin 教授です。

コロンビア大学の歴史学の教授で、ハーバードでも過去に教鞭を取っていた移民についてのバキバキバキンの専門家です。今日の授業で彼女とZoomする機会があり、日本の移民についてアドバイスはないか、こんな感じで聞いてみました。

え?そんな…世界的権威な人と気軽に話せちゃうんだ…えぐいなコロンビアの学生でいるステータスって…。

まあこんな機会利用しないわけにはいかないでしょ~~~!!という訳て授業後に彼女に突撃しました。

私「先生、授業ありがとうございました!!!一個聞いても良いですか!!」

先生「おk~」

軽い。

私「えーと、日本は高齢化社会で、不足している労働力を補填するために、もっと若い移民を受け入れなきゃいけなくなる感じです!

そんでここ最近、技能実習生という制度を始めて本格的に移民流入への動きに乗り出してるんですが、工場などで働く彼らの労働環境はとてもブラックで、言葉もできず、差別もある環境で、とても良い状況とは言えません。

先生の授業から、アメリカの移民も最初の段階ではひどい労働環境や差別など、今の日本と同じような問題に悩まされたと聞きました。

移民の専門家として、かつてのアメリカのように移民初期段階にある日本へアドバイスをいただけないでしょうか。つまり、その~~~、日本人と移民両方にとって幸せな移民政策をするために、日本はどのような政策をとるべきでしょうか。」

先生「地下鉄の7番線に乗って郊外のクイーンズに行ってみてください。(即答)」

私「ほえ!」

先生「そこにあなたの探している答えの一部があるかもしれません。7番街にはチャイナ・タウンや、ユダヤ人の地区、アフリカ系アメリカ人の集まる一角などがあります。移民がひとところに集まって、小さな祖国を作っているんです。」

▲ジャクソン・ヘイツ地区にある「リトル・インディア」

▲ウッドサイド地区の「リトル・マニラ」

▲フラッシング・クイーンズの「チャイナタウン」

先生「大切なのは移民を同化させることではなく、移民の人が移民のままでホームのように感じられる場所を作ることです。自分の居場所を見つけられるようにすることです。

言語や文化については世代交代によって時間が解決することです。そのためにはまず、小さな祖国を作るのに必要なだけの移民の量を受け入れることも必要です。

アメリカも今の状態になるまでには多くの移民の量と時間を必要としました。今もアメリカの移民の状況は完璧とは言えませんが、これから時間をさらにかけることによって、アメリカは彼らの居場所になるでしょう。

日本の移民の状況は少し知っていますよ。まずは移民の量を受け入れること、そして彼らが自分の居場所として感じられる小さな祖国を作るということではないでしょうか。」

「グッドラック!」最後に先生は親指を立てて元気づけてくれました。

そうか~、日本語をどうやって教えるかとか、日本にどうやって馴染んでもらうかとかばっかりが問題の中心な気がしちゃったてな。でもそれって、移民の人にばっかり日本に歩み寄ってもらうことに考えが行ってたってことだよね。

それよりもむしろ、馴染まなくても心地よく過ごせる場所、第二の家を作ることが大事なのね。

みんな同じじゃなくていいというか、おお、違いを認めるってそういうことなのかも…。

ニューヨーク生活あと500日程度、移民になって移民の立場をもっと体験してみます。(もちろん、工場労働者のような移民とは根本的に違う立場ですが…。)

7番線も乗るぞ!